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『追放するプレーヤーを一人選んでください。制限時間は三分です』
再び議論タイムが始まる。
「沢田くん、預言者なんだよね? 夜に椎名くんの役職は何だったのか占ってみた?」
「!」
私の言葉に、沢田くんは大きな唾を飲み込んだような顔をした。
「……ごめん」
占ってないんだ。やっぱりね。
私は一人で合点する。
もしも沢田くんが預言者だったら、自分が預言者だと嘘をついていた椎名くんを怪しんで昨夜のうちに必ず占っているはず。
でも、椎名くんの役職が何だったのか沢田くんは占っていない。
つまり、夜に沢田くんがとった行動は、占いじゃなくて殺人。椎名くんを殺した犯人だから占っていなかった。そうとしか考えられない。
「怪しいな、沢田のやつ」
死んだはずの椎名くんが勝手にしゃべり出す。
「ダメだよ椎名くんは議論に参加しちゃ」
「いや、なんかさー、最初から沢田は怪しかったじゃん? 役職を振り分けられた時からビクビクしてた。やっぱりあいつが人狼だ!」
「違うよ、沢田くんは人狼じゃない」
佐藤さんが即座に沢田くんを庇う。
「沢田くんは、お友達とこういうゲームするのが初めてで、ドキドキしちゃっただけだよね?」
「佐藤さん……」
沢田くんがうるうるとした瞳で佐藤さんを見つめる。
「マジ、天使……」
「天使なんて役職ねーよ、沢田」
お前こそ、空気読めよ椎名くん。
今は佐藤さんと沢田くんの感動シーンだったやろがい。
「天使というなら俺こそ天使だな。もう死んでるから」
「いや、死んだはずなのに動いてるからゾンビじゃない?」
魂も腐ってそうだしな。
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