我慢なんてできない

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我慢なんてできない

 さっきまで一緒にキッチンに並んで、ご飯の準備をしていたはず。  どうしてこんなことになったんだろう?  カイさんに抱き上げられ、首にしがみつきながらこの一瞬の間に起きたことを思い出してみる。カイさんはそんな私に構う様子もなく、足で扉を蹴り上げて開き、私をベッドに下ろしてベッドサイドの明かりをつけた。 「ごっ、ご飯は?」  覆い被さるカイさんに、せめてもの抵抗で胸を押し返してみる。全く意味がないけど。  目許を赤く染めて壮絶な色気を放つカイさんに、眩暈がする。  ヤバい、どうしようカッコ良すぎ…!! 「こっちを先にすることにした」  そう言って腕で私を囲みこむように上から覆い被さり、激しく貪るようにキスをする。  口内を深く深く侵入する舌に翻弄されて、あっという間に私の身体に火が灯る。  私の脚の間に身体を捩じ込み、片脚を持ち上げたカイさんの大きな掌が、膝裏から腿裏を、そして臀部まで何度も往復して撫で上げる。ストッキングの上から指でやわやわと揉み上げる手つきに、久し振りに感じる快感を逃したくて身体を捩っても、押さえつけるようにやんわり体重をかけられ動けない。 「……もも、舌出して」  翻弄されてぼんやりする頭で、言われるままに口を開いて舌を出すと、ちゅうっと吸い付いてじゅぽじゅぽと卑猥な音を立てられた。  恥ずかしさに頭に血が上る。 「んんっ、…あっ」  するりとストッキングを脱がされた素足の感覚が気持ちいい。冷たいシーツが火照った身体を冷やしていく。 「カ、カイさん、私お風呂入ってな…っ」 「あとで…っ」  カイさんの荒い息が首にかかり、熱い唇が何度も首筋を往復してきつく吸われたのを感じる。カイさんの余裕のない愛撫が、私の真ん中にある何かを刺激する。  柔らかなニットを捲りあげられ、大きく胸を捏ねられて甘い声が上がる。久し振りに感じる快感が私を追い詰め、そしてカイさんも追い詰める。 「もも…っ、もも」  そうしていつもの余裕などなく私を強く求めるカイさんに、私はあっという間に陥落した。
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