好き

1/1
前へ
/18ページ
次へ

好き

 そう言って長い指があわいを何度も撫で、やがてズブズブと隘路に分け入った。溢れた蜜がカイさんの手も私の脚もどんどん濡らしていく。恥ずかしさに顔を腕で隠すと、カイさんが両手を取りシーツに縫い付けた。 「ダメ、顔見せて」 「カイさん…っ、ぁっ、ああっ」  何本か分からないカイさんの指がバラバラと動き、私の中を激しくかき混ぜる。その指を締め付けるように私の中が蠢き、ぐちゃぐちゃと室内に響く水音に耳も犯されて、また目の前に白い靄がかかり始めた。 「ダメ、いっちゃう…っ! あっ、や…っ」 「いいよ、イって、もも」  カイさんの親指が秘所の上の蕾をグリッと押し付け、激しく擦った。  首を仰反り、足がシーツを蹴る。嬌声はカイさんに飲み込まれ、ガクガクと震える身体を抱き締められた。  力の入らない身体を投げ出して、はあはあと呼吸を繰り返す。目を開けることもできない。  でも私の身体がひくひくとカイさんを求めているのが分かり、そしてその痙攣にまた身体が震える。 「…もも、ごめん、俺ちょっと余裕ない…」  カイさんはそう言うとシャツを首から抜き取り、どこから取り出したのか避妊具を装着した。それを見てまた、私の中が痙攣する。  ぽっかりと空いた私の隙間を、カイさんに埋めて欲しい。 「カイさん…、カイさん」  両手をカイさんに向けて伸ばすと、すぐに覆い被さりキスをしてくれる。何度も何度も、舌を絡め唾液が溢れても止まない。  ちゅ、と音を立てて唇を離し、でも息のかかる距離でお互いを見つめ合った。  カイさん。  私の大好きなカイさん。 「カイさん、…会いたかった」 「うん」 「カイさん…カイさん」 「うん」 「好き…カイさん…っ」 「…っ!」  私の言葉を聞くと、カイさんは呻き声を上げて素早く私の脚を大きく開き、一気に奥まで貫いた。背中を逸らし高い声を上げると、カイさんは私の腰を掴みゆっくりとそこから引いて、また奥まで強く貫く。  私の声が上がれば上がるほど、激しく強く叩き付け、中を穿つ。  身体の中が溶けていく。溶けて、カイさんと私と、ひとつになるみたいに熱く溶けていく。 「もも…っ、もも、好きだよ…好きだ」  うっすらと目を開けて見上げると、汗を滲ませ眉根を寄せたカイさんが私を見下ろしている。  濡れた唇から漏れる荒い息遣い、私を呼ぶ甘い声。  カイさん、好きです。  もう何度目か分からないほど、私はカイさんに好きと伝えた。  言葉にならず空に消えていっても、私は何度もカイさんに好きを伝えた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

269人が本棚に入れています
本棚に追加