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最寄り駅から電車に乗り、新幹線に乗り換えて揺られること約2時間、目的地で降りて駅からちょっと離れたコンビニの前でスマホをいじって待っていると男性に声をかけられた。
「あの、」
顔を上げるとそこには身長170センチ前後の男が立っていた。
柔らかな髪は毛先を遊ばせ、すこし長めの前髪は切れ長の大きな目をほどよく隠している。小さな唇に小さなお顔。
これぞ追い求めていた美男子。
サイトの写真では目元は髪で覆われて口元は大きな袖を持った手で隠されていたので雰囲気イケメンくらいしか分からなかった。予想以上にイケメンな彼に足元が揺らぐ。
「大丈夫ですか?」
ふと手を伸ばして支えてくれる紳士的な態度も素晴らしい。
細身ながらも体幹が鍛えられているのか私を支えてもものともしない頑丈さ。
それにしてもこれで28とか逆詐欺だ。どう見ても成人したてにしか見えない艶肌。
美しさに見とれていると困った表情をされた。
いくら何でもボストンバッグを持った女性を支えるのは重すぎたのかもしれない。
体勢を整え、笑みを浮かべる。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「一応聞くけど、お酒飲める年よね?」
「はい」
「良かった。じゃあ行きましょう」
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