輪廻Ⅱ『頽運』

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「死んだあと何になりたいってどういうこと?そんなんあんたに出来るん?」  柏木は金原仙人が言った意味がよく分からなかった。 「出来ますよ。それが私の得意ですから。祈りを通じて知り合った方々の希望の来世を紹介しています」 「そうですか?ほったら言うだけでも言うとくか。あかんで元々ですからね」 「ええそれがいい」 「人間でもええんですか?」 「まあ仕方ない、神は喜びませんがね。動物とか虫とかになりたいとは思いませんか?虫だとカメムシなんてお勧めですよ。一発かまして飛び去ってしまう。あんな面白い虫はいませんよ」 「過去におるんですか?カメムシになった人は?」 「いません」  柏木は騙されずに済んで良かった。 「騙したわけではありませんよ。私の好みでして」  柏木が心で思ったことを金原に当てられて驚いた。たまたまだろうともう一度心で悪口を言った。 「それほど悪い仙人ではありませんよ。だったらあなたの希望など聞かない。そもそもここに来ない」  やはり読まれてしまった。 「なんでうちの心が読めるんですか?」 「あなたと通じた時からあなたの心が読めるんです」  柏木は仙人は大袈裟だろうがそれなりの霊力者であると確信した。 「そうですか。それじゃお言葉に甘えて希望を言わしてもらう。もういっぺん予想屋になりたい。客に大穴を取らしてやりたいんです。それが夢なんや」 「そうですか、やはり人間ですか。まあいいでしょう。ちょっと脳内を読ませてください。頭を出して、もっと前に出して」  柏木は炬燵台の上に頭出した。金原仙人は生命線を額に合わせて掌を広げた。指が裂けるほどに広げるとその指が脳に沈んで行く。
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