第3話 アシュリー・エインズワース

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「ふわぁ、生き返った……」  それからしばらくして、私は男性と公園のベンチに腰かけていた。  彼は私が買ってきたお水を飲みつつ、サンドイッチを頬張っている。四つ買ってきたサンドイッチのうち、三つはすでに彼の腹の中だ。 (この人、なんなんだろ……)  最後の一つのサンドイッチを頬張りつつ、彼が私に視線を向ける。……胸が、どくんと大きく音を鳴らした。 「すみません、実は、三日ほどなにも食べてなくて……」  男性が、少しだけ肩をすくめてそう言う。 「そうなんですか」  端的に返事をして、私は自分の分のお水を口に運ぶ。その冷たさに、心が落ち着いていく。  でも、心が落ち着くとノーマンに振られたという真実が胸の中に湧き上がってきて。思わず、コップを握った。 「……あなたは、優しいですね」 「……え」  不意に、男性がそう声をかけてきた。だから、私は彼の顔を見つめる。……彼は、ふわっという効果音が付きそうな表情で、笑っていた。 「こんな見知らぬ男のために、駆けまわってくれるんですから」  目を細めて、彼がそう言う。……別に。 「別に、優しいわけじゃないです」  視線を落とすと、自然と口からそんな言葉が零れた。  だって、そうだもの。私は多分、彼を利用しているんだ。 「なにかしていないと、いろいろと辛くなっちゃって……」  ほかのことを考えていたほうが、ノーマンとのことを考えなくて済むから。  ……なんて、彼には関係ないのに。そんなことを思って、自然と苦笑を浮かべる。
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