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第1問 好きな季節は何でしょう?
風邪ならすぐに治してくれそうな君の名前が好きだ。
「私は昼と夜が好きよ」朝が苦手なルルが言った。
彼女は「好き」を語ることが圧倒的に多い。僕が聞いた中での「嫌い」は、“風邪薬イジり”をする人くらい。その点は僕も充分に気をつけている。
何気ない会話の流れから突然、「私が一番好きな季節は何でしょう?」と出題してきた。彼女のことなら何でも知っていたい。絶対に正解したい。不思議と血が滾った。でも残念ながら僕は彼女のことをあまり知らない。正確な年齢すら知らないんだ。確率25%に賭けるしか正解するすべはなかった。
「じつは、“ル”はね。ドレミの音階に入るはずだったの」
「え?」
「なのにハブられちゃったの」
「十二支の、ネズミに騙された猫みたいな?」
「そうそう! おそらくドかファに騙されたのよ」
はて、クイズはどこへやら。
奔放な彼女は空を見上げてる。「私は“ル”が好きよ、サ・ト・ル」
僕だって。風邪ならすぐに治してくれそうな名前の、君が好きだ。口には出せないけどね。
彼女が好きな季節は分かった。クイズはまだつづいてたんだ。
でも僕には解けない謎が残った。もし彼女のヒントが本題だったとして。
クイズがまだつづいているなら…。
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