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「奏くん!?やっぱりそうだ!!奏くん!!」
やっと走り終わって休んでいると、テニス部のユニフォームを着た、見覚えのある男子が話しかけてきた。
そうだ、この子は…僕の幼なじみだ。隣の家に住んでいる、僕より3つ下の中等部2年生。
「ああ、もしかして優くん?久しぶり。」
「久しぶり。じゃないよおおお!!僕たち隣の家なのになんで久しぶりなのか分かる!?僕が家を出るときには奏くんはもう学校行っちゃってるし、僕が帰ってきても奏くんはまだ学校だし!!」
ええ…凄い押しが強いなあ。でも、そんなところも昔と変わってないな。
「だって、部活があるじゃん。優くんも、テニス部なんでしょ?」
優くんは腰に手を当てて、プイッとした。
「へんっ!僕はサボり常習犯だからね!今もこうして逃げてきたってわけ。」
おやおや…
ふふふ…面白い子だなぁ…
「奏くん!何がそんなに面白いのさ!僕はずっと君を探してたんだよ!?」
え?あ、そうか…今、僕、笑ってたんだ…
最後に笑ったのはいつだったっけ…
どうりで表情筋が凝ってるわけだ。
「それにしても、奏くん、見ないうちに随分とイケメンになったねぇ」
は…?僕は今なんて言われた…?
「優くん、今、何て…?」
「だーかーら!すんごいイケメンになったよねって話さ!もうオーラがちがうよ!?色気とかも全開だしさ、彼女でもできた?」
意味が分からなかった。僕がイケメン?そんな馬鹿な。そんなものは僕とは遠い世界に存在しているんだ。僕の顔は気持ち悪い。ああ気持ち悪い。恥ずかしい。
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