友人

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「おい!!立川!!見つけたぞ!!」 遠くから、テニスのユニフォーム?を着た男性が叫んでいる。どうやら監督か何かのようだ。 「あっ、やばっ!監督に見つかった!!ごめん奏くん、逃げるわ!また来るからさ!!」 「えっ、ちょっ、待って…」 優くんは僕にウインクをして素早く去っていった。 何だったんだ…という気持ちよりも、僕は嬉しい気持ちの方がはるかに勝っていた。 胸が高鳴る。全身が何かで満ちていく。 これが、生きてるってことなのかもしれない。 笑うということは、誰かと笑い合うということは、こんなにも僕を満たしてくれるのか…。 次の日、僕は教室で優くんが来るのをほんの少しだけ期待していた。 もしかしたら、他の人達みたいに、昼休みにお弁当を友達と食べれるかもしれない…。 でも、期待した分だけ、落胆も大きいことはよく知っている。変に期待するのはやめて、大人しく一人で食べよう。 そうして、一人でお弁当の包みを開けていると、優くんの声が飛んできた。 「奏くぅーん!!一緒に食ーべよ!!」 僕はお弁当箱を持って、廊下へ飛び出した。 優くんが八重歯を見せてニッと笑った。 あぁ嬉しい。こんなに嬉しいことが今まであっただろうか。 クラスから僕の名前がポツポツ聞こえる。でもそんなのどうでも良い。 この嬉しい気持ちを、ありがとうって言葉を、この子に、優くんに伝えなきゃいけないんだ僕は。 「優くん…!!ありがと!ありがとう!!僕はっ…こんなにも嬉しい…っ!!」 あっ、しまった…思ったことをめちゃくちゃに声にしてしまった。優くんは驚いた顔をしている。あぁ嫌われたんだ。気持ち悪いなぁ僕は。ああ気持ち悪い。 「はははっ!なんだよぉ~照れるなあ~。そんなに嬉しいの?」 優くんは笑いながら僕に言った。 引かれてない…?気持ち悪いって、思われてない…? 「優くんは、僕が…気持ち悪くないの…?」 「はぁ?何言ってんのさ。君が気持ち悪いわけないだろ?」
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