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彫刻みたいな顔
「彫刻みたいな顔で、気持ち悪いね。」
そう言われたのは、僕が16歳の頃のことだった。僕は、中高一貫の男子校に通っていた。
高等部二年生になったばかりの僕は、まだクラスに馴染めないでいた。
いや、学校自体に全く馴染めていなかった。だから、クラス替えがあったら少しは僕も…と、中等部の頃から毎年期待するのであった。
「2人組、もしくは奇数の場合3人組になって座ってー。」
先生がこう言うと、僕は絶望した。みんな次々と楽しそうにペアを組んでいく。僕の元へ来る人なんて一人もいなかった。
余っている僕を見て先生はみんなに呼び掛ける。そうすると、みんな僕が怖いから嫌だと言った。
最初は、ただ馴染めないでいるだけだと、僕が内気だからなんだと思っていた。けれど、段々、僕は「馴染めないのではなく明らかに浮いている」ということが解った。
僕は教室でいつも孤独で、ずっと怖くて恥ずかしくてたまらなかった。
勇気を出して、隣の人に話しかけたこともあった。
「あ、あのさ、吉田くんって、部活、何してるの…?」
すると吉田くんはチラッと僕を見て、また手元のプリントを眺めながら返した。
「野球」
「そうなんだ。」
僕は、もっと「へー!じゃあ○○選手とか知ってる?」とか、「やっぱり!坊主頭だしな!」
とかいう気の効いた返事をするべきなんだろう。でも、それが出来ない。
「おい吉田聞いたか!?佐野が彼女できたってよー!?」
岩内くんという、背の高くて元気な奴が吉田くんに勢いよく話しかけた。
「え!?ガチかよ!!え、佐野んとこ行こーぜ!!」
二人は騒ぎながらどこかへ行ってしまった。
やっぱり、僕と話してもつまらないんだな。
僕は教科書を読むふりをして時間を潰した。
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