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廉は必死に走りながら、「お母さん…」という言葉を溢した。涙で視界がぼやけてきたちょうどその時、大きな何かにぶつかった。
それはさっきの三人組だった。
「僕さ、お母さんどこ行ったの?」
「し、知らない…」
「知らないじゃ困るね。おじさん達、お母さんにお金返してもらわなきゃいけないんだよ。これじゃあ、お母さん泥棒になっちゃうよ」
「お母さん、昨日から帰ってきてないの…」
「あらら、それは困ったね。君を連れて行ったら、お母さんは探しにくるかな?」
サングラス越しに見えるその目は、まるで獣のような目をしていて、廉は足から崩れ落ちた。男達はそんな廉を見て、にやりと笑うと、一人がナイフを取り出した。
「ねぇ、僕。お母さんのいるところ教えてくれないと、おじさん、僕のこと殺しちゃうんだけど。僕のお母さんのせいでものすごーく、ムカついてるからよぉ。早く言ってくれねえと!まじで殺しちまうぞ!!!!」
男がナイフを振りかざすと、廉は思わず自分の頭を守った。死を覚悟すると、母の優しい表情が脳裏に浮かんだ。
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