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「でもね。服は色の明示されてるからいいんだけど。たまに小物とか載ってないから、白だと思ってたらピンクだったってことはあるんだよ」
そこで、デパートで「ピンク好きなんだな」って聞いたとき、深森がぎょっとしたことを思い出す。
「もしかしてリボン」
「うん。白だと思ってた。ついでに筆箱も白だと思ってたんだ」
ああ、だからピンクの筆箱、誰のだって聞いたとき反応がなかったのか。
「ありがとう永田くん。このことを人に話たの初めて」
もう一本トゲが抜けた。なんだこんなふうに、さっさと話せば良かっただけなんだ。
「あのさ、なんでクラスでひとりでいるの」
「だって、誰かと一緒にいると目のことバレちゃうでしょう。そしたら、もしかしたらお父さんの耳に入るかもしれない。私、知られたくないの、普通の子じゃないなんて」
父親を大切に思ってるんだろうな。父が苦手な俺には心が痛い。
「でもさ、深森の父さん再婚したんだろう。新しいお母さんとかも出来たんだし、言ってみたら? 俺さ色覚異常のこと調べたんだ。ちゃんと色が認識できるメガネってのが、あるんだっ……」
「やめて」
悶々と考えているあいだ。俺はスマホや兄の部屋の本棚をさばくって調べた。それを自慢げに提案しかけたが、深森は鋭くその言葉を切り込み遮った。
「言えないよ」
「なんで? 家族だろ」
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