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「今日もわたしの勝ちだね!」
「僕より年下の女の子に負けるなんて!」
鐘の前で誇らしげに胸を張られた。
本当はこうして、ずっと2人で遊びたかった。現実の世界で出会いたかった。
だけど、彼女の存在が僕たちの人生を狂わせてしまうから、僕は彼女を消さなければならない。
「明日もーーって言いたいけど、そろそろ”お兄ちゃん”はわたしのことを消したいんだよね」
「......うん」
「わたしのことが好きなのに」
「......うん」
どうして。どうしてこんなことになってしまったんだろう。
僕は彼女の真っ白な首に手をそえる。
「一緒にご飯を食べたり、学校に通ったり、こうやってかけっこをしたりしたかったーーでもそれは叶わないことなんだ」
僕はこの夢の世界を案内してくれた自称AIのことを思い出した。
✳︎
『この世界は夢の世界です』
『私はエリー=カンパネラ。未来演算型AIです』
『私の演算結果によると、あなたが5年以内に一族郎党を惨殺する殺人者になる可能性は98.5%』
『私、カンパネラの機能を使って、無意識の世界の心の闇を払い、幸せな未来を手に入れましょう』
✳︎
カンパネラに導かれて僕はここまで来た。
カンパネラの予測によると、この小さな少女のせいで、僕はこの後、酷い目に遭ってしまう。
だから。
僕は彼女の首をーー。
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