連還する記憶 ⑥

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連還する記憶 ⑤で触れたように、観念idéeは、もともとギリシャ語のイデアを指す言葉ですが、その中身としては、ヒトが、生まれながらに備えている知性を働かせる行為、知的行為の結果として得られる考え、例えば理念とか、理想とか、が挙げられます。 この知的行為の結果として得られる観念、たとえば理念を軸に、考察を進めていきましょう。 まず「理念」とは、物事がどうあるべきかの基本的な考えのことで、その考えのもと、ヒトは行動します。たとえば、日本国民は、日本国憲法の理念のもと、国民としてこうあるべきという考えにしたがい、行動します。 ヒトが理念を掲げるには、そのヒトが、まず、ある理想を抱き、それを実現し、実現した暁には、その状態をずっと維持しつづけたい、という欲求をもつことが、その動機となります。 まず理想というものがあり、その後に、理念が生まれるのです。となると、理想とはなにか、どこで、どういう理由で、生まれるのか、という疑問がわいてきます。 理想とは、それが最もよいと考えられる状態のことで、その状態になってほしいと思うものです。 つまり、ヒトが心に描き、理性によって考えることで生まれる、これ以上望みえない最も完全で最善の、まだ実現されていない目標、あるいは、そのような状態を指します。
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