連還する記憶 ⑦

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連還する記憶 ⑦

観念を造り出す知性の働きから、理想の誕生と理念の構築という、認識能力を備えたヒトとして、象徴的な収穫物を得られることを確認しました。 <記憶の共有> ヒトと他人は身の保全のために集団を形成します。集団の中で、致命的な考えの相違により、生命を否定し存在を脅かす事態が発生しても、集団の理念がこれを検証し、裁定し、統合します。 集団と集団の間で、ヒトの致命的な対立が生じ、生命を否定し存在を脅かし、共同体の存立を否定、錯乱、破壊する事態が発生しても、各集団の理念を突合せ、検証し、すり合わせ、より広く包括的な理念を構築することで、新たな集団として統合・統一されていきます。 こうしてヒトは、長い殺戮と破壊の歴史の中で、生命を否定し存在を脅かし、共同体の存立を否定、錯乱、破壊する事態に直面し、驚き、悩み、考え、腐心し、頭を切り替え、知性を錬磨することにより、それらに対する免疫を獲得し、より広く包括的な統合・統一の理念の構築へと、辿りついていったのです。 それがなぜ可能であったのか。
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