連還する記憶 ⑨

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<常在菌は情報伝達媒体> たとえば、ものを食べると、血糖値が上がりますが、上がりすぎると、生命体が壊れますので、膵臓からインスリンという物質を分泌し、骨格筋とか、脂肪組織などに、糖分を取り込むように働きかけて、血糖値を低下させるように作用します。 このとき、血糖値の上昇を危機ととらえた常在菌は、膵臓にインスリンの分泌が必要である旨の情報を伝達し、骨格筋や脂肪組織に糖分をとりこめるように働きかけ、結果、血糖値を正常なレベルに戻すことができるのです。 こうしてヒトに寄宿する常在菌は、常在菌の宿主たるヒト、すなわち生命体が壊れないように、壊れても元に戻れるように、互いに情報を交歓し伝達しあって、あらゆる生体機能の尋常な働きを助けているのです。 これはヒトに限ったことではないでしょう。あらゆる生物に寄宿する微生物は、この情報伝達媒体の役割を担い、生体機能の尋常なバランスを保つ働きをしています。なぜなら、自分が寄宿する宿主の生体には、つにね尋常な生命活動をづづけてもらわなければならないからです。 微生物自身がそれを望むかぎりにおいて。
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