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<常在菌と種の保存>
ヒトにつながる脊椎動物のヤマウサギを例にとってみましょう。
ヤマウサギは、多産動物なので、放っておくと、どんどん増えていきます。
もしヤマウサギが、限りなく増えていけば、どうなるでしょうか?
自然とは不思議なもので、やがて天敵となるヤマネコが現れます。構造的に診れば、生態系のバランスの維持、とでもいうのでしょうか。しかし、顕微鏡のようにミクロの視点で考察してみると、生態系を構築している数多くの種が、どのように生態系を維持しているのか、という別の切り口が明確になってきます。
ヤマウサギが増えます。限りなく増えようとします。すると、いつのまにかヤマネコが登場してきます。そして、ヤマウサギを捕食するヤマネコも増えてきます。
こうして両方とも、どんどん増え、限りなく増殖しようとしますが、ある極限に達すると、ヤマウサギの数が、少しずつ減少していきます。子供を二十匹生んでいたメスが、出産の数を減らし、三匹しか生まないようになります。激減です。
この状態が続くと、ヤマウサギは絶滅します。絶滅種です。ところが、ある程度減ったところで、今度はヤマネコの数が減少しはじめます。こうして、非捕食者が増えすぎると、捕食者が現れて、お互いに人口増加になると、お互いに、自制することを選びます。
種の怪の保存編です。
この現象が、環境ストレスとホルモンの影響によるものであることが、最近、分かりかけてきました。環境から来るストレスが、生命体のホルモン分泌に圧力をかけ、母親の胎盤を通じて、生まれてくる胎児に人口を減らせ、という信号を送りこむのです。
すると、生まれてきた子は、オスでもメスでも、子供を生まないようになります。こうして、種は、それぞれに、自身の種を保存していくのです。
しかし、この現象は、捕食者と非捕食者間で発生するストレスによるもので、ヒトには当てはまらないのではないでしょうか?
そうではありません。ヒトの種でもおなじなのです。
ヒトは、より貪欲に強くなろうとし、ヒトの集団を支配しようとします。しかし、強くなりすぎると、いくら奴隷に子を生ませても、自身の種自体が、生き残れなくなってきます。共食いです。
すると、強い集団に、人口を減らせ、というストレスが働き、胎盤を通じて子孫に不妊するようホルモン調節がなされることになります。その結果、強い集団は縮小し、弱い集団の規模が増大していくことになるのです。
こうして常在菌は、種の保存のため、寄宿者として宿主が尋常にその生成活動を継続できるように働きつづけるのです。ここまでは。
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