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 イケメン王子が自分の後ろに控える側近から何やら書類を渡されると、其れに目を通しながらオペラ歌手もかくやと言わんばかりのバリトンボイスでエミに向かって言葉をかける。  「聖女エミよ」  「はいっ♡」  若干の喜色を含んだ声を上げるエミにちらりと興味無さげな視線を送るマティアス殿下。  「教会からの報告書によると、慈善活動と称して村人Aの子供の怪我、村人Bの風邪に伴う諸症状、村人Cに対する腹痛等etc・・・ を自身の聖神力でもって快癒させたとある。その功績により教会より聖女として認めるという許可が降りたが間違い無いかな?」  そう。  この世界に何で自分が移転したのかは分からないが、道端で会った子供に声を掛けると目の前ですっ転んで膝を擦りむいて泣かれてしまい、うるさいなあと思いながらしゃがんで傷口を確認しようと肩に触れたらあっという間に治ってしまったのだ。  そのまま子供の親がすっ飛んできて、『聖女様だ』と持ち上げられて村の病人のお世話をさせられた。  実はエミ自身は親切でやった訳ではなく上手いこと利用された感満載である。  「間違い無いです・・・」  その時のことを思いだして若干不機嫌になるエミ。  「また、王都の教会預かりになった後神父からの報告として、この世界が【乙女ゲーム】であり、王太子や、その側近の婚約者が【悪役令嬢】であるという発言から【異世界人】だという結論となったが、相違無いか?」  え? なにそれ?! あの神父から報告があがったって事? え?  「え、何でそんな事で・・・ 異世界人確定なの?」  イケメン王子が無表情のまま、  「この国に落ちて来る異世界人は必ず【乙女ゲーム】【悪役令嬢】【攻略対象】【逆ハーエンド】という言葉を必ず口にするからだ。隣国は【魔王】【勇者】【ハーレムエンド】【課金ゲー厶】【チート】【俺つええ】らしいがな」  「・・・・」  なんか、隣国がどういう国かが想像がついたね♪  「そそそ、そんなにいっぱい異世界から人が落ちて来るんですか?!」  「そうだ年に一回位なので我が国は少ない。隣国なんぞ月イチらしいからな」  まーじーかー・・・?!
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