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 「聖女エミよ」  国王陛下の厳かな声が謁見の間に響き渡った。  「そなたが、我が国民をその力を以て治療してくれたことに敬意を払おう。しかしながらそなたこの世界の者ではない【異世界人】だ」    思った以上に野太い威圧感のある声でそのまま質問され、若干の緊張を覚えたエミだったが答えなければ不敬であると、後ろに控える侍従に小言を言われた。  「は、は、は、はいっ! 地球の日本というところから来ましたっ!」  「ほほう。地球産か」  「地球サン?」  首を傾げるエミ。  「そなたのような異世界人は『地球産』は特に多いが『日本』か・・・どこかで聞いたことがあるな」  「へっ?」  国王陛下は一旦天井に目を向けると、ポンと両手を打ち鳴らした。  「そうだった。この世界がゲームで、現実世界ではないと言って喚き散らした者が居たはずだ。確かソレが『にほん』と言っておった」  ポカンとした顔のエミに向かって国王は続けてこう言った。  「で? この国で住むのか? それとも帰るのか?」  「え!? 帰れるの?」  「おお、勿論だ。我が国もそんなにホイホイ移民を受け入れられんからな。そもそも身分証明もない不法侵入者に国民の年金をおいそれと使えんからな」  酷い言い様かもしれないが本音であろう。どっかのJ国だって本音はおんなじである・・・  成り行きを見守っていた王妃が徐ろに口元を扇で隠しながら  「ねえ、ちょっと聞いていいかしら?」  と挙手をした。
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