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「異世界人達は、何故か王太子妃が悪役令嬢だとみな口を揃えて言うのですが、もう既に婚姻済みの女性も異世界では『御令嬢』なのかしら?」
国王の隣で成り行きを見守っていた美魔女王妃が口を開く。
「へ? 婚姻済み?」
「そうよジュリアは人妻なのよ?」
思わず、王太子がガッチリ腰を抱く『悪役令嬢』こと、ジュリアに視線を向けるエミ。
「え? 何歳?」
「30歳に御座います、聖女様」
美しいカーテシーを披露するジュリア王太子妃。
「え? 私より若く見えるんじゃ・・・」
現役JKよりお肌ピッチピチのアラサー美●女に目を剝くエミ。
下手したら自分の方が年上に見える訳で・・・
日本人て若く見られる人種じゃなかったの?! あれ、ちょっと待って30歳? 悪役令嬢ジュリアは王太子よりも年下の筈・・・
「え、てことはマティアス王子って、33歳?」
思わずそう呟くと、手の中に収まっている嫁の髪の毛にキスをするのに忙しい王太子が此方を向いた。
「? そうだが?」
「・・・ 国王陛下!! 今すぐ日本に帰りたいですっ!」
「おおそうか、では、住所、名前、生年月日と今の年齢を口にするが良い。直ぐに魔道士達が送り返してくれるからな」
部屋の隅に白い魔法使いのローブを羽織ったおじさん達10人くらいがこちらに向いてお辞儀をした。
同時に大声で陛下に言われた通りに住所、名前、生年月日と今の年齢を怒鳴ったエミはキラキラ光る余韻だけを残して消えてしまった。
最後にチラッと見えた彼女の額に青筋が立っていたのは気のせいか・・・?
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