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「あ、令嬢のこと・・・」
王妃が片手を伸ばしたままそう呟き、ジュリアは困った顔で頬を抑えて
「わたくしも悪役令嬢って何なのかを今回もお聞かせ願えませんでしたわ・・・」
そう呟いた。
「ジュリア、余り気にしなくて良いよ。【悪役】なんて付いてる時点で君に相応しくない名称だからね」
王太子マティアスが、王太子妃ジュリアの頬にキスを落とし
「父上、母上、今日の公務はコレで終了ですので」
両親がハイハイ分かってますよという顔をして、手でシッシと息子を追い払う。
「それでは!」
マティアスが真っ赤になったジュリアをお姫様抱っこしたまま謁見の間から風のように去っていく。
「ねえ、今度は王子かしら?」
「王女がいいな~」
「じゃ、賭けましょう! 次は王子はこちらよっ!」
「王女はこっちだ」
その辺にいた魔術師や侍従や近衛がわらわらと2人の周りに集まりワイワイと何やら用紙に記入し始めた。
「掛け金は大臣預かりよ~」
王妃のオホホホという高らかな笑い声が謁見室に響いたのであった・・・
結局今回も悪役令嬢の意味はわかりませんでしたとさ。
ジュリアちゃん残念っ!
了
「悪役令嬢って何かしら?」
by.hazuki.mikado
2023.3.4.sat.
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