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 美しい黄金の髪の毛。  烟るような睫毛の下には翡翠色の瞳。  抜けるような白い肌に薔薇色の頬。  艷やかにしっとりとした唇は美しい微笑を常に浮かべており、慈愛に満ちた眼差しは周りに侍る者達ばかりか、王宮に仕える下働きの者すら憧れると言われている、まるで女神か天使のような女性それがジュリアである。  公爵家の侍女達が総力を上げて美の女神もかくやと言わんばかりに長年かけて磨き上げた美しい姿は、王国一の美姫としても有名である。  勿論この国の第1王子、王太子でもあるマティアスも当然彼女を溺愛しており、2人が婚姻を結び、この王国の未来は輝かしいものになるであろうと皆がそう信じていると言っても過言ではない・・・ のだが。  「それで、先日現れた【聖女様】は何と仰っているのでしょうか?」  王宮の中庭、薔薇が咲き乱れる美しい場所にあるガゼボにあるソファーに座り、小首を傾げながら目の前に座るマティアス王子に次の言葉を促すジュリア。  その言葉を受けて、その可愛らしい仕草に深い碧色の瞳を瞬かせるマティアス。  「ああ。今日も君は美しいね」  「わたくしの事をお聞きしているのでは御座いませんわ。【聖女様】の事をお聞きしているのですわよ」  若干呆れ顔で王太子の顔を見つめるジュリア嬢。  「ああ、それがね【聖女様】が君のことを【悪役令嬢】だと言うんだよ」  「?」  小首を傾げていたジュリアは更に首を傾げる角度を深くして、その言葉の意味が分からない事を彼に示した。  「悪役令嬢とは何でございますか?」
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