11話

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11話

「よし、出来たぞ!」 「いい香り、美味しそう!」    ついに出来上がったハンバーグがお皿の上で、玉ねぎソースをまとい、キラキラしていて食べるのが勿体無いけど。お腹はグウグウ鳴るし、私の口の中はヨダレの大洪水だ。 「ヒーラギ、このナイフとフォーク使って」 「ありがとう」 「フフ、このハンバーグ、われながら美味そうにできたな……いや、絶対に美味いな。……そうだ、付け合わせに何かあったな」  ブランはカバンを漁り、密封容器の瓶を2つ取りだした。その密封容器の瓶の中には透明な液体に浸かった、緑色の野菜が入っていた。 「それは何?」   「これか? 俺が作った獣人産のガーキンのピクルスと、ジンセンのピクルスだ。美味いって家族にも評判いいから、味には自信あるぞ」 「ピクルス? 食べてみたい」   「いいよ、ヒーラギの丸いパン貰っていい? あとレタも欲しい」    レタ? あ、レタスのことか。 「いいよ、どんどん使って」  ブランは丸いパンを半分に切って、バターを引いたスキレットで片面を焼き。レタを数枚剥がして今度は水魔法で洗って水をきると、ピクルスと一緒にハンバーグの皿に乗せた。 「じゃ食べようか、いただきます!」 「いただきます!」  声に出さず、食べ物達に感謝をして。  ハンバーグにフォークを入れると、中からジュワッと透明な肉汁が溢れた。それを一口大に切ってパクッと食べる。んん〜、ソースに使った玉ねぎの甘さがお肉に負けていない。 (この玉ねぎソース美味しいわ)    さっきバターを引いたスキレットで焼いていた、丸いパンはそのまま食べるの? と、隣のブランを見た。  彼はそのパンの間にハンバーグ、レタ、ピクルス、ソースを全部、挟んで大きな口で食べていた。   「なに、その食べ方は? 美味しそう」   「ああ、美味いぞ。これはハンバーグをパンで挟んだハンバーガーって言うんだ、ヒーラギもやってみて?」 「ハンバーガー? やってみるね」  私も全部パンに挟んで齧り付いた。 「んん、美味しい! 焼いたパンは香ばしいし、ハンバーグはそれだけ食べても美味しいのに、パンで挟んだら違う食べ物になったわ。レタはシャキシャキで、ブランが漬けたピクルスは少し酸っぱい味だけど、ハンバーガーのいいアクセントになってる」 「クク、俺が漬けたピクルスは美味いだろ」 「凄く美味しい、ありがとうブラン」  お皿に残った玉ねぎソースまで、追加したパンでぬぐって食べちゃった。 「「お腹いっぱい!」」  いま使ったスキレットの後片付けはどうするのだろう? 水魔法で洗うのかな、それだったら私にも手伝えるけど。 「ブラン、後片付け手伝うよ」 「大丈夫、アイツに任せるから」 「アイツ?」 「俺の友達、クリーンスライムのスラだ。出て来い、スラ」   「ニュ!」  ブランに呼ばれてマジックバッグからピョンと、青色のスライムが飛びでてきた。  わぁ、書庫の図鑑でみたスライムと同じだ。 「こんにちはスラ。私はヒーラギっていうの、よろしくね」  私の声がスラに届いたらしく、ニョキッと細長い手が伸びて、私の手を突っつき挨拶した。 「2人の挨拶は終わったな、よし後片付けをしよう」  ブランがスラに使ったスキレットを渡すと、体の中に入れて、ジュワッと汚れだけ綺麗に落とした。 「ニュ!」 「お、サンキュ、美味いか?」 「ニュ、ニュ」 「そうだろ……おいスラ、そんなに美味いからって急かすな、いま渡すから」   「ニュ!」  スラにもハンバーグの味がわかったのか、手を伸ばしてブランに催促している。最後に火を消した、消し炭までスラは綺麗に消化してしまった。  クリーンスライムのスラ。スラは汚れたものをキレイにしてくれる、クリーン魔法が使える変わったスライム。 「すごいね、スラ」 「ニュ、ニュ」 「ん? ヒーラギ、スラがお礼を言いたいってさ、僕の友達の傷を癒してくれてありがとう! だって」  プルプル、プルプル揺れて、スラは私にお礼をしてくれた。 「どういたしまして……ブランはスラにとって大切な友達なんだ。それにしても友達のブランは"かなり無茶"をしたわね」 「ニュ、ニュ――!」  そうだ!と、怒ってるとスラは細い手を伸ばして、ポカポカブランを叩いた。 「スラ、そんなに怒るなよ。俺だってあの時は限界だったし……心配かけてごめんな、スラ」 「ニュ! ……ニュ、ニュ」 「ちょっ、わかってるって……のがしゃしねぇーよ」  今度は二人で、何やらコソコソ楽しそうに話している。  ずるい、私にはスラの言葉はわからないのに。 「ブラン、何を逃さないの?」 「ん? これは男同士の話だよなスラ」 「ニュ」  二人で楽しそうに肩を並べて笑った。
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