795人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
18話
浄化した森の中でお腹を鳴らした私と、隣で真剣に何を作ろうか悩むブラン、ロンさんとスラは凄い音だと笑ってた。
大量に魔力を使うとお腹がすく。
「よし、決めた! いい牛肉があるから今から焼き肉にしよう」
「焼き肉?」
「焼肉はいいね。僕とスラは野菜担当ね」
「ニュ、ニュー!」
「スラ、喜びすぎだよ」
ロンさんに飛びつくスラと、ロンさん……あれ? 先程まで外見が幽霊の様だったのに、今はクッキリ見えている。
「ねぇ、ブラン……ロンさんの体がハッキリ見えるけど……」
「ん? ああ、ロン師匠は魔物と戦うときに、こっちへ来てくれたんだ」
「え、そうだったんだ」
「クク、師匠はヒーラギの浄化の力を側で、見たくなったのかもな。それと、さっきロン師匠とスラが倒した魔物はあとで回収して、明日、食べよう」
「えぇ、食べましょう」
「いいね、魔物の素材は僕が貰うね」
「ニュ!」
「わかった、魔物の素材はロン師匠とスラが持っていっていいよ。お肉はもらうけど」
それでいいよ。と頷いたロンさんとスラは、仲良く肩を並べ、ブランのマジックカバンの中に手を突っ込み。キャベツ、キュウリ、トマト、自分達が食べる野菜を取り出して、ブランにカバンを返した。
ブランは受け取ると、ハンバーグを作った時と同じくテーブル、まな板などの調理に必要な道具を出した。
前と1つ違うのは大きなナイフと、ハンバーグを焼くときに使用したスキレットというフライパンではなく。今度は平べったくて、長方形な鉄板を取り出した。
森の開けた場所で、ブランは焼き肉の準備をはじめた。ロンさんとスラは石を組み、カマドを作っている。
みんなは働いているのに……私は手持ち無沙汰(てもちぶさた)だった。
「ブラン、私も何か手伝うことある?」
「ヒーラギは休み、俺の横で見ていて」
「そうだよ、森の浄化に魔力使ったんだから……料理は僕達に任せてゆっくり休むんだよ」
「ニュ」
「ありがとう、みんな」
お言葉に甘えて、私はブランの隣に座った。
ロンさんとスラはブランの手伝いが終わると、仲良く野菜をむしりサラダを作り。ブランは大きめなナイフで牛肉を分厚く切っていた。
「お肉美味しそう」
「ああ、いい肉だからか肉を切るとき、俺の体温で脂が溶ける、今から食べる焼肉はハンバーグよりも美味いぞ!」
「美味しかったハンバーグよりも! いまから楽しみ」
「おーっと忘れる前に、水に浸した米を炊かないとな」
ブランは焼肉を準備する前、コメを二合を研いで水に浸していた。ブランはロンさんとスラが作ったカマドの真ん中に、赤い石を置くと、魔法で火をつけコメの入った鍋をかけた。
「ブラン、真ん中に置いた赤い石は何?」
「赤い石? あぁこれのことか魔石だよ……見てみる?」
私が頷くと、ブランは袋から真っ赤な石を取り出して、見せてくれた。
ブランの話では――この魔石という石は魔物を倒すと手に入るらしい。ほかにも水、雷、氷、土の魔石があり。その魔石に魔力を通すと自分が持っていない属性の、簡易魔法が使えると教えてくれた。
「じゃ、私でも魔石があれば火の魔法が使えるのね」
「そうだ。ヒーラギが火の魔法を使いたかったら、赤い魔石が必要になる」
「すごい、教えてくれてありがとう、ブラン」
私は騎士が魔物を倒したあと、何か拾い集めているのは知っていた……それが何かを聞いても、彼らは教えてくれなかった。
――あれは魔石を拾っていたんだ。
「コメの下に入れた火の魔石は。コメが炊ける約三十分くらい燃え続けるよう、加工してあるから。火が消えて、十分蒸せばコメの炊き上がり」
「その手伝いなら、私にもできそう?」
「あぁできるな、コメはまだあるから明日の朝食のとき、一緒にコメを炊こう」
私は「やります!」とブランに頷いた。
ロンさんとスラが作ったちぎりサラダもできて、お肉も切り終わり、コメは蒸らし中。
「ふうっ、腹減ったな……先に肉を焼こうか」
「うん、お肉を焼こう」
「焼くまえ焼き肉につける、タレと岩塩をださないとな」
ブランはマジックバッグの中から、岩塩と茶色の液体が入った、密封瓶を取り出した。
最初のコメントを投稿しよう!