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20話
お肉を食べ終えた、私の体はキラキラと光り輝いた。
これは……おそらくブランの手製ご飯を食べたから、昼食に食べたハンバーグとハンバーガーのときも、力がみなぎったもの。
それを、みんなに話すとロンさんは笑った。
「違うよ、この食材はヒーラギが8年間もの間、祈りを捧げた土地で作られた物だろ? その食材を当人が食べて力がみなぎったんだ。僕もブラン、スラもステータスかなりアップしてる……まあ、ブランの愛情がこもった料理だからかもしれないけどね」
「俺も、ヒーラギのお陰で俺の魔力もかなり戻ったよ、まだ魔力5分目くらいかな? ……ヒーラギのマジックバッグ作りはもう少し待って欲しい」
「うん! でも、無理しなくていいよ。これから一緒にいるのだし、いつでもいいよ」
「一緒⁉︎ そうだな、これから一緒だな」
2人の会話を聞いて、ほんわかしていたロンさんが驚く。
「ちょっと待て、ブランの魔力5分目は僕と対等くらいだって、散々教えたんだけど……また、忘れたのかなブラン君?」
「あ、忘れてた」
ロンさんに「忘れないように」と詰め寄られ、ブランが焦っていた。
明日の早朝。ブランの両親に会った後で、マジックバッグを作ると、約束してくれた。
あと片付け役のスラは酔い潰れ、ドロドロに溶けたままで役にたたない。仕方がないとブランはこのまま寝る支度を始めた。火の見張りはスラを酔っ払いにした、ロンさんとブランの2時間交替。
「さて寝るか」
ブランは狼に戻るといい、私の前でブレスレットを触って着ていた服を消した。
「きゃっ! ちょっとブラン!」
「嫁の前で、大胆だなブラン」
「ヒーラギは何度も見たから、見慣れているから平気」
「待って、平気じゃないわ。それに……私は何度もブランの裸は見てない!」
「見た!」
「見ていない!」
裸を見た、見ていないと言い合う私達の、その横を。
「ニュー」
と、酔っ払いのスラは「おやすみ」とでも言ったのか。住処のマジックバッグにヌルヌル入っていった。
「ハハッ、ゆっくり休めよ」
「スラ、おやすみ」
「おやすみなさい」
ユルユルな、酔っ払いスラに力が抜けた。
+
私はモフモフ狼のブランに寄りかかり、ウトウトしていた。ブランも交替まで眠るのかと思ったのだけど、ロンさんと何かしゃべっているようだ。
「明日、一応ヒーラギを王城に連れて行こうとは思ってるけど……俺が家族から嫌われているとわかると、ヒーラギはどう思うかな?」
「多少なりに驚いて、心を痛めるもな……」
「心を痛めるか……でもロン師匠、はみ出しものの俺は何をしても一族に入れてもらえない……彼らと、血は繋がってるのに……」
ブランの悲しい声をまどろみの中で聞いていた。心の中で、ブランははみ出しものなんかじゃない。私はブランが必要だし側にいて欲しいよ。
「……大丈夫、ブランは私が守るからね」
「ヒーラギ?」
ブランはヒーラギを見たがぐっすり眠っている。
「フフ、寝言だね? ほんと、ブランはいい嫁を貰った」
「まだだよ、ロン師匠。でもさ、ヒーラギは俺の嫁になってくれるかな?」
「僕はなってくれると思うよ」
「……そうだといいな、こんな嘘つきな俺でも」
ブランのモフモフに包まれて、魔物からブランを守り活躍する、ヒーラギは夢の中で活躍していた。
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