episode 10ヶ月前

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「わぁ、コンシェルジュ…ラグジュアリーマンションなんだ、翔くん。僕も遊びに行くよ」 やっぱり俺の年収が気になる者たちを煽るように那智が言っている。 あちらとこちらの税金を考えて、個人事業は大きくなりすぎないようにこの金額にセーブしていたが、日本で法人化するので今後収入は倍増させられる。 「翔くん、チャコは普通に料理出来るよ」 「なら…何故あんな言われ方をしなきゃならない?」 「反対したいだけなんじゃない?」 「失礼ね、那智。那智も知っているでしょ?笙子の方が茶子より上手に作るでしょ?」 「それは基準次第で言えることだよ、母さん。翔くんも、おじさんたちも聞いてね。例えば皆のランチ用に三段の重箱に何か作ってとお題をショコとチャコに出すとする」 「ふふっ…那智くんの話、好きよ」 「ありがとう、おばさん。えっと…そうすると…ショコは店のおせち料理のようなものを完成させるんだよ、一日中掛けてね。チャコはおせち料理の煮しめではなくって普通の筑前煮か肉じゃがが一段バーンと入っているような、弁当を簡単に完成させるんだ。その違いだよ」 「なるほど、那智くんの説明、分かりやすいわ。笙子ちゃんも茶子ちゃんもすごいのね。私は翔貴と茶子ちゃんの結婚に賛成よ。茶子ちゃんがオーケーしてくれればね」 「でも…雅貴くんと笙子より先にっていうのは、体裁が悪いというか…先に決まっていたことですし」 「それは、時期はともかく、結婚は許可していただけるということですか?」 うだうだ言ってないで、今日の決着はつけようじゃないか。茶子の恋だの愛だのは、心が自由になれば俺に向けてみせる。茶子を野田ではなく俺の手元に置かせてくれ。
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