episode 9ヶ月前

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もうすっかり寝る準備を終えてからキッチンにいたので、私はここ1ヶ月ですっかり気に入ったニットガーゼのナイトウェアをボソッと着ている。その私を後ろから抱きしめたまま、親子亀のように…違うね…後ろの翔貴の方が大きいから逆親子亀のようにおんぶするような形でノロノロと寝室へ移動する。 この密着もドキドキするのだが、やっぱり安心感もあるところが結婚して良かったと思えて、私のお腹に回る翔貴の手をそっと握った。 「茶子、相談があるんだけど」 彼は私をベッドに座らせると、チュッ…頭にキスをし、お風呂上がりでありながらミーティングのために30分ほどだけ着たシャツを脱ぐ。 「うん、なぁに?」 「俺、来月、個人事業を法人にするんだけど、茶子も一緒に働いてくれるか?」 上半身は裸のままTシャツを手に持って私の隣にトン…と座った翔貴は 「今、茶子が登録してやってる仕事を辞めて欲しいわけでもないし、すべては茶子の好きに決めていいんだよ?」 そう続けてからTシャツを頭から被った。 「翔貴が会社を作って…そこで私は何か出来るの?」 「フルタイムほどはないけれど、事務作業を手伝ってもらえると助かる。もちろん興味があるなら、茶子が目をつけた会社同士をマッチングさせる営業をしてくれてもいい」 「うん…」 「本当のところ、人を雇うことも考えていたけれど、時差があるから日本の会社との仕事は昼間、アメリカとのやり取りはメール以外の直接ならこんな時間になるから難しいかと思ってる。昼間だけ雇うなら毎日半日くらいで十分なんだ」 それはよく分かる。翔貴も昼間に空き時間があるから、私の買い物とかに全部付き合ってくれるんだもの。
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