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あっという間の1ヶ月のようで…夜は長い1ヶ月だった。
茶子に触れても嫌がる気配はないし、最近では茶子から俺に触れてくれる。そして‘好き’と言うわけではないけれど、さっきの‘翔貴の言葉が大好き’というような想いは口にしてくれる。
きっと茶子はまだ気づいていないが俺のことを好きになり始めている。それを確信して、そっと唇を重ねた。
柔らかい唇の感触を確かめるようにゆっくりと口づけながら、この唇が‘翔貴’と小さな頃から何度呼んだのだろう、と想いを馳せる。
茶子の髪に指を差し込んで、そっと唇を舌でなぞると
「欲張りは?全部やってみるってこと?」
唇を触れさせたまま聞いてみる。
「…ぅん…出来ると思う…?」
「出来るようにやればいい」
「ワガママな…働き方だね…」
「そうか?快適さを求めるのは当たり前」
「…また…翔貴は嬉しい言葉をくれる」
「茶子のことが好きだから溢れるんだな」
チュッ…チュッ…二度リップ音をさせてから再び唇を重ねる。茶子は俺の側にいて安全、那智も今週引っ越しをして新天地での生活を始める。因果応報…その種まきを始める時が来た。
トン…トントン…
「うん?」
小さく俺の胸を叩く手を握って鼻先を合わせると
「…私も…たぶん…好き…翔貴が好き…」
茶子がはにかみながら囁いた。
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