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何が愛想なしだ。茶子が何も言えないようにした張本人たちの言葉に嫌悪感しかない。
俺は雅貴のスペアなどと認めたことは一度もないし、家を出る準備もアメリカの大学に進学するところから着々と進めてきた。両親も雅貴も、ただ世界を見る機会だくらいの感覚で、俺が家を出る準備をしているとは思っていないだろう。そのくらいの自由はあった。
‘俺が完全に自由になる時には茶子も一緒に’
アメリカに行く前、18歳の時にはすでにそう心に決めていた。だが、野田家の‘スペア茶子’という概念、思考が日隈の何倍もの力を持ち茶子を縛り付けていると明らかになる事件が起こる。
茶子が大学生になりボーイフレンドが出来た時、家まで送ってもらった際に親にバレると別れろと言われた。
「笙子のスペアとして間違いがあってはならないわ」
「日隈に顔が立たない」
そうキツく言われた茶子は、初めてスペアであることに抵抗するようにボーイフレンドと外泊した。それに激昂した野田夫妻は茶子を2ヶ月近くの間、自宅軟禁状態にしたのだ。同時に笙子も茶子を毛嫌いするような言動を見せるようになった。
アメリカにいた俺は那智からの電話でそれを知った。
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