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そこから数年掛けて、今回の完全帰国まで十分な準備をしてきた。
まだ‘cafe days’の役員扱いで在籍はしているが、新入社員と同じ基本給のみもらっている状態で‘社長の次男は遊んでいる’と思われているだろう。家族は俺が個人事業として基本給と同じくらいの収入だけは得ていると思っていると思う。俺の家族は野田ほどではなくとも、やっぱり俺は二番手。そして茶子のことを‘もしかしたら日隈の嫁’という見方をしている。
茶子はあんなにケラケラと笑う可愛い、色素の薄いちょっとしたくせ毛がふわふわとチャーミングな少女だったのに、去年の正月に帰国した時にはストレートヘアになっていた。理由を聞くと
「雅貴の好みにさせてみたの、一応ね」
「でも、笙子と結婚するけれど、一応な」
雅貴と笙子が理解不能な返事をして、それを両親たちが普通に聞いている。狂っている。そこから俺は早急に納税やいろいろな対応を完璧に済ませて、同じ事業内容で今後は拠点を日本に移すことにした。
ここから俺は茶子の分まで、狂った家族たちを見返してやる。
「雅貴の結婚式って、具体的にどうなってるの?」
まずは相手の状況を正しく把握することが必要だ。
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