6982人が本棚に入れています
本棚に追加
雅貴と笙子が時折仲良く肩を寄せ合いながら、結婚式の予定を説明する間に、時々、両親たちも補足するように言葉を挟む。
「絞って、絞って200人ほどの披露宴になるの」
「その規模になると会場が限られるから、すでに予約済みだよ」
10ヶ月の結婚式は予約済みで、日隈側120名、野田側80名ほどに絞っての招待。どちらも親戚一同と、取引先など関係者を招待するという。
「招待状をお送りするには早いけれどセーブ·ザ·デートは来月に送る予定なの」
「何、それ?」
「那智、知らない?セーブ·ザ·デートは、結婚式の招待状を送る前にゲストに送る案内状のことよ。式の日程をゲストに告知するのがメインで特に詳細は必要ないけれど、ゲストのスケジュールを早めに確保するために送るものなの」
「何しろ多忙なゲストが多いからね」
「本当に、お名前を聞いて緊張するような方がおられますね」
「そういう付き合いだからね」
それの何が自慢なのか分からないが、当人たちと両親たちの6人が意気揚々と、俺と那智を見る。俺と那智の間に座る茶子のことは見ているように感じない。
「ゴボウ、久しぶり過ぎて…足りない。アメリカで全く食べない食材だ。会席料理にしてもらってよかったけど山盛り出してと言えないところが辛いな。茶子、ゴボウもらっていいか?」
「うん…いいよ」
「僕のもあげるよ、翔くん」
「ありがとう、那智。那智は、ずっと元気にしてたか?社会人1年目どう?」
雅貴と笙子の結婚が公になるなら、もう動いてもいいだろう。那智はどうする?那智の動き次第で俺のプランが変わる部分もある。那智の前途を閉ざすようなことはできないから。
最初のコメントを投稿しよう!