第三章:猫と犬と恋わずらい

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 そして、来たる日曜日。  鬼除川の近くの公園で待ち合わせしよう、ということになったので、僕はドキマギとしながらブランコに腰掛けて待っていた。  なんとなく俯いて揺れていると、こちらに足音が近づいてくる。 「おまたせ! 螢川くん」 「いや、全然待ってな、」  ――可ん愛いいいっ!!!!  私服の合葉さん超至福!! ふんわりとした白スカートがお似合い!! 本物の天使が降臨してる!! こんなレアショットを拝めるとは……っっ、憑き物探偵やってて良かったぁ!!!! 今すぐ妖怪になっても後悔しない!!  思わず、「ありがとうございます」と言いかけて、咳払いをする。  ……日に日に、合葉さんを好きになっていく自分がいて、ちょっと怖い。そういえば、想いが強すぎると、生霊(いきりょう)になって好きな人に憑く場合もあるらしいから……気をつけないとな。まぁ、その手の話は信じていないけれども。 「あぁ、今日が僕の命日か……」 「へっ?」 「いや、なんでもないです」  小首をかしげる合葉さんから目をそらし、「じゃあ、行こっか」と言うと、合葉さんは笑顔で頷いて付いてきてくれる。……憑き物探偵、絶対一生続けよう。
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