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「はぁ~。螢川くん、また会いたいなぁ」
「いや、あした月曜日だし。会えるでしょ」
私のボヤきに、冷たくツッコミを入れるお姉ちゃん。
「そうなんだけどぉ。また、二人きりで私服姿を……って、お姉ちゃんいつの間にいたの!?」
「さっきから居ましたけど。ほんっと、夢中って感じで初々しいわねぇ~」
「からかわないでよっ!」
ふくれながら部屋に行き、パタンッとドアを閉める。
暗い部屋でひとり、胸に手を当て、深呼吸をした。
「……ウソ、吐いちゃった」
覚えてない、訳がない。
――螢川くんは、正真正銘、私の初恋の人だったんだ。
はあぁああ、とため息混じりの奇声を発しながら、私はベッドにタイブする。
……そんな、現実が嬉しすぎて、受け止めきれないよ。螢川くんのことが、好きすぎて辛い。こんな熱い顔……誰にも見られたくない。
ふと、私はポケットから、いつものお守りを取り出す。
犬の顔みたいで、今日も可愛らしい。そのつぶらな瞳をみて、ミャーちゃんが関節キスみたいなことをしたのを思い出し、さらに顔が火照る。
ぎゅうっ、と。石を両手で握りしめた。
「螢川くんの……、特別に、なりたいなぁ」
願ったら、叶うだろうか?
ふっ、と自嘲気味に笑う。……願うだけじゃ、ダメだよね……。
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