第三章:猫と犬と恋わずらい

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「はぁ……」  ここのところ、大きなため息を吐くのが多くなった気がする。  コトカと螢川くんが、二人っきりで話していた。そのことを、家に帰ってもずっと思い返していた。なにを話していたんだろう? いつの間に、あんなに仲良く喋るようになっていたんだろう?  私の知らないところで、私の知らない螢川くんが、どんどんと増えていく。  ……いや、私は、もともと螢川くんのことなんて、なにも知らないんだ。だって、憑き物探偵だって知ったのも、つい最近だし。そんなの、考えてみれば当たり前のことなのに。  どうして、こんなにも胸が締め付けられるのかな?  螢川くんの助手になって、特別な存在に近づけたら、それで良かったのに。  いつの間にか、螢川くんの特別になりたい、だなんて欲が出てきて。  私だけが知っていたいだなんて……。  こんなことを思う自分がいるんだってこと、初めて知った。 「あぁ、どうして――。神様」  私は、螢川くんの、特別じゃないんですか?  その日の夜。  アオーーーン。と、美しく深い鳴き声が、静かな街中に響き渡っていた。
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