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「私、ぜーったいに! 螢川くんに恥じないよう、憑き物探偵の助手頑張るね!!」
――ズコーッ、と人生で初めて肩を地面にぶつけたのだった。
……まぁ、そうだな。
僕は、ずれたメガネを正しながら思う。
本物の憑き物に出会った訳だし、僕も、一概にホラ吹き少年とは言えなくなってしまった。
これからも、もしかしたら――いや、きっと近いうちに、彼女や僕、あるいは身近な誰かが、不思議な現象に惑わされてしまうのだろう。その時は、二人――と一匹で、堂々と立ち向かいたい。
ずっと、僕らは特別な関係で繋がっていられると、今は信じられるから。
心配して覗き込んでくる合葉さんの手を取り、僕は立ち上がった。
それから、二人で意気揚々と街に飛び出していく。
空は突き抜けるような青さでどこまでも続き、その中心の光は、いつまでも眩く僕らを照らし続けていた。
《了》
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