01 夏野、ひとこと余計

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 僕の眠りを察知したのか、すこし静かになった彼女の反対隣。窓の外からは夏の残党と言わんばかりに、数が少なくなっても飽きずに鳴いている蝉の声が耳に入ってきた。つい先日、文化祭が終わって燃え尽きたからか、昼休みなのに騒ぐやつがいない教室は心地よい。 「樽井くんもさ、無視って非人道的な行いだと思わない? だからもし罪悪感あるんなら、ねーえ、起きて」  けれども俄然やる気のないだらけた空気が充満する教室で元気な奴がひとり。またもや隣から降ってくる声に僕はため息を吐いた。  あくまでも寝ているように見える人を無理矢理起こすのも十分非人道的だと思うよ、僕は。と心の中で返しながらも、絶対に頭を上げてなるものか、とより強く瞼を閉じた。
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