私は誰⁉️ 正規版 29S

1/1
前へ
/9ページ
次へ

私は誰⁉️ 正規版 29S

小説 私は誰⁉️(29S) テレビから流れてきたニュースは、日本の大学の教授である、 小山内カオル氏が画期的なマシンを発明した。 と言うニュースであった。 その内容は、他人の記憶を伝達するマシンであり、これを応用する事で、近い将来はアルツハイマー病などの治療に使う事が出来るとのことであった。 小山内カオル氏は現在アメリカに居て、助手である水原学氏を 待っているとの事であった。 小山内カオル氏の記者会見の席上で、水原学氏に対してのコメントが放送された。 それは、「水原氏と一緒にアメリカに行く予定の日に水原氏は現れず、また連絡をしても携帯電話には繋がらない。 この記者会見を水原氏が見ていてくれたならば、私に連絡してほしい。」 と言う内容であった。 私は、連絡先のメモを取った。 両親と妹は喜んでくれた。 おかしい、この人達は一体、何者? 何故、私の事で喜ぶ? これは演技か? 思い切って3人に聞いた。 「先程、お父さんの血液型はA型、お母さんの血液型はO型と 話してくれたのだけど、僕はB型ですA型とO型の両親から B型の子供は生まれません!あなた達は私の本当の両親ですか?」 少し強い語調で聞いた。 「ばれてしまったら、仕方ないな。」 と父が笑いながら、言った。 ここは、笑うところでは無い。こちらは真剣なのだ。 「本当の事を言おう。私は、学が小学生の時に、今の母さんと再婚したのだ。妹は母さんの連れ子だ。 お前と母さんは子供の頃から、折り合いが悪く大人になってからも 仲が悪かった。 お前が記憶を無くしたと聞いたので、学が母さんと仲が良くない事を覚えていないのであれば、今の母さんを実母として振る舞おうと 家族で決めたのだ。 私は、ケイコにお前が正常になり、 元の生活に戻れるまでは、 一緒に暮らしてやってくれと頼んだのだ」 一緒に暮らしている妹とは血の繋がらない関係だった。 複雑な気持ちになった。 「もうひとつ疑問があるのですが、僕がこの部屋に帰ってきた時に、生活感も無く綺麗に片付いていたのは?何故ですか。」 「その事なら母さんに言ってもらおう。」 「学の部屋があまりのにも散らかっているし、汚いし、おまけに犬は居るし、掃除屋さんに頼んで清掃してもらったのよ。 私、悪いことしたのですか?!」 と、母は私の事が嫌いだったのであろう少し不機嫌に言った。 僕は、その言葉の中で気になったのは犬の事であった。 「その犬は何処に行ったのですか?此処には居ないけど」 「掃除屋さんが『扉を開けた時に何処かに行ってしまった』と 言っていたわ。何処に行ったのかは知らない」 と、母は無責任で冷たい言い方をした。 私が母を嫌っていた理由が、分かる様な気がした。 真相は解明された様に思えるが、油断はできない。 全てが解明されるまでは。 しかし真相を知らずにいた方がいい場合も、あるのかも知れないと思った。 もっと複雑な気持ちにさせられたのは、妹のことであった。 妹とは血が綱がっていないのだ。 それを知ってしまったからには、どの様に対応すればいいのか? 子供の頃とは違うのだ。 両親は妹を残して帰って行った。 妹はいつも通りに振る舞っている。 私は、いつもの様に振る舞っている、振りをしている。 内心はドキドキだ。 妹に言った。 「今日からは、此処で泊まってはいけない。自分のアパートに帰って欲しい。」 と本心でない事を告げた。 「何で、私が嫌いになったの?子供頃からお兄ちゃんは私に優しかったのに。何で記憶が戻ったら、私を嫌いになっての!」 「記憶はまだ完全には戻っていない。ケイコの事も良く覚えていない。だから一緒にいると、複雑な気持ちになってしまう。」 「複雑な気持ちって?  やだーお兄ちゃんHな事考えてる。 やだー。」 と言って妹は帰って行った。 複雑な気持ちがより複雑になって行った。 判明した事は、僕の名前は水原学。B型。将棋は強い。 大林と言う友達がいる。 大学時代は優秀で教授たちにも名前が知られていた。 小山内氏と同じ研究をしている。 誕生日は平成8年8月8日 明日、小山内氏に連絡をとろう。 また、大学に行ってこよう。タクシーで。 と考えている時、持ち金が無いことに気がついた。 まずは、妹にお金をもらわないといけない。 続く。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加