最終回A

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最終回A

小説 私は誰⁉️(35)(最終回A) それは、車に跳ねられた映像であった。 私は、交通事故に遭ったのだ。 目を開けると、可愛い妹の顔があった。 妹は私に抱きついて来た。 「お兄ちゃん、良かった。記憶が戻って本当に良かった。 私は、お兄ちゃんにずーっと疑われていたね。 本当に辛かったわ。悲しかった。 でも、一番苦しかったのは、お兄ちゃんだよ。 誰も信じる事が出来ないなんて、本当に辛いよね」 と言いながら、妹は泣きじゃくっていた。 「御免ね。ケイコを疑っていて。でも今の映像にケイコの顔がしっかりと分かったよ。子供頃に遊んでいたことも思い出したよ」 だが、一緒にお風呂に入った映像は残念な事に無かった。 私は不思議な感覚だった。 今までの自分とは全く違うのだ。 本来の自分に戻ったのかも知れないが、記憶が復元された事は間違い無い。 私は無口な男だったと、会う人それぞれに言っていたが、 今の私は、無口では無さそうだ。 人の性格と言うものは、何で決まるのだろう。 不思議な気持ちに襲われたが、自分を取り戻し、 むやみに人を疑う事が無くなった事だけでも 本当に良かったと思う。 今まで私の身の周りに起こった事は、私の記憶の無い事による、 不信から始まっている。そして疑心暗鬼を生む。 最初から妹を信じ、両親を信じていれば、これ程 苦しみ 辛い想いもしなかった。 信じる事の大切さ、また難しさを本当に痛感した。 私は記憶を取り戻し、両親に会い、何の問題も無く全て解決した。 今はアメリカで小山内教授と研究を重ね、より良いマシンの改良に励んでいる。 これで一応の完結としたい。 この物語は水原学が必要以上に人を警戒し、一人相撲を取った様なものです。 元々何の事件も無く、水原学氏の思い込みであった。 読者の中には、 素人の小説はこれだから困る人騒がせ小説だ、と思われた人もいらっしゃると思います。 この結末を踏まえて、もう一度読み返すならば、別に不自然な事は 無い様に思います。 疑いから入ると全て疑心暗鬼になってしまいます。 こんな結末嫌だと言う読者には、別の結末をご用意させて頂きます どちらを好むかは、読者次第です。 尚、学の記憶のサンプルは事故前に残された物なのに、 何故その記憶があるのか?と疑問をもたれた方にお答えします。 脳に刺激を与えられた為に、本来の記憶が蘇ったと思われますが、 本当の事は分かりません。
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