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妹さんは僕の隣に腰を降ろした。
かすかに、甘い香水の匂いがした。
顔は女優の剛力彩芽に似た清楚な感じの人である。
妹さんが、
「此の人、今度入った、、、。えーと、名前は何んだっけ?」
と僕に聞いてきた。
「知っているよ、さっき聞いた。杉田公一君だよ。」
と、男が逆に僕を妹さんに紹介した。
その言い方は何故か、少し不機嫌そうだった。
「そうそう、杉田公一さん。御免なさい!
私、もの覚え良く無いの!」
と、笑いながら、ごまかす様に言いつつ、
「此の人は私の叔父さんで、元刑事の伊東吾郎さん。
今は探偵。と言うか私達の先生です」
と明るい声で言った。
(なるほど、それで伊東四郎に似ていたのか!名前も一字違いだし。)
「私は飯島裕美と言います。直子の妹です。
姉と幾つ違うかは言わないわよ。」
と、いたって明るい。
もしかすると、此の人は面白い人かも知れないと思えてきた。
気が合いそうな感じだ。
女の人は愛想の良い人が良い。笑顔に屈託が無く、一緒に居て警戒しない人の方が、安心出来る。
「杉田君、せっかく入ってくれたのだけど、お客さんそれ程来てくれないの。だから暇を持て余してるのよ。おかしいでしょ!。」
と裕美さん笑いながら言っている。
「お客さんが居ないって、どう言う事ですか?
ぜんぜん居ないのですか?」
「ぜんぜん居ない事は無いけど、滅多に来ないのよ。何故なのかしら?どうしたら良い?」
と、僕に聞いてきた。
「そうですか、お客は少ないのですか?
もっと宣伝したらどうでしょうか?
電信柱に広告を貼って見るとかして、人目に留まる様にするとか?」
「電信柱に無断で貼っては駄目だ。広告会社に貼って貰わないと」
と伊東吾郎さんが少し怒った言い方をした。
何か不機嫌みたいだ。
「腹減ったな!何か食べるものは無いのか?裕美コンビニで何か買って来てくれ」
と1000円札を裕美さんに差し出した。
(お腹空いていて、不機嫌だったのか)
不機嫌の理由が判明した。
「カップラーメンなら、ここにあるわよ。」
と言って1000円貰わずにカップラーメンを取りに言った。
此の事務所には炊事の出来る場所があり、ガスコンロと冷蔵庫
が置いてある。
茶碗や、湯呑み、コップ類もある。
ここで寝泊まりぐらいはできる。
「味噌ラーメンと醤油ラーメン、どっちが良い?」
「朝からカップラーメンか!仕方無い、味噌でたのむ」
と不服そうであったが、伊東吾郎は美味しいそうに食べていた。
「お姉ちゃんね、いつも来るのは12時以降なの。
ここの売り上げが無いから、キャバ嬢してるの。
お姉ちゃん。ちょっと壇蜜に似てるでしょ。だから人気あるんだって。自慢して言っていたわ。でもね。」
と言いながら、僕の耳元で囁くように
「お姉ちゃんね。恋人居ないよ」と告げた
この話は、昨日聞いた。
妹は何故か、僕にもう一度教えてくれた。
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