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ジュンナは立ち上がり、少女の横に跪く。
彼女の手を取り、両手で包みこむ。
そこに自分の額を軽くあてる。
触れる肌の一部から、少しでも想いが伝わりますように、と願いながら。
「ごめんね」
まぶたを閉じる。
「……ごめんね、こんなになるまで。よく頑張ったね。……ごめんね、怖かったよね、痛かったよね」
顔を上げたジュンナの瞳には哀しみが宿っていた。
それは同じ経験をしたものにしか分からない、本物の哀しみだった。
少女の瞳が潤む。
ジュンナは額を離し、彼女の髪をそっと撫でる。
「──よく耐えたね。よく頑張った」
その言葉を聞いて、少女はぽろぽろと、やがてこらえきれなくなったように声を上げて泣き始めた。
ジュンナは少女を抱きしめる。
「もういいんだよ。もう大丈夫。…もう、我慢しなくていいからね」
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