第26話

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「はぁ、ん、な、なかじょ……まって……」 「待てない。まだ足りない」  熱を孕んだ薄茶色の瞳が俺を見つめていた。その色っぽい視線に耐えられなくて、俺はぎゅっと目をつぶった。 「……ぅんっ……あっ――」  制服のシャツをまくられて、中条の手が素肌に触れた。  敏感な脇腹を、掌がなめらかに滑っていって、俺の体はびくんと過剰なくらい反応してしまう。  手は、どんどん上に登ってきて敏感なところを攻めていく。  ううぅ、これ以上は……ヤバい……。 「なかじょ……も、もう――うわぁっ」  突然、視界が反転し、中条と一緒にベッドに倒れ込んだ。  ぼふっという衝撃に驚いたけれど、どこも痛くはなかった。 「び……っくりしたー」  中条の腕の中、俺の口からこぼれたのはそんな言葉。  熱を帯びて反応しかかっていた体の中心部は、驚きと共にさーっと熱が引いていって事なきを得る。  た、助かったぁ……。  と思ったのもつかの間、中条がぎゅーっと腕に力を込めて抱きすくめられた。 「……中条……?」 「ん……、もうちょっとこのままがいい」 「う、うん……」  中条の着痩せする程よく厚みのある胸板に頬が当たり、とくとくとく、と聞こえてくる胸の音に耳を澄ます。それ以外の音は聞こえなかった。  幸い、母さんは俺たちと入れ違いで買い出しに出かけたから、もうしばらくは戻らないだろう。  この家には、俺と中条だけしか居ない。  うわ……。  好きな相手と誰も居ない家で二人きりとか、ヤバくないか。  しかも、ベッドの上で抱きしめられてるなんて。  これじゃぁまるで恋人同士みたいじゃないか。
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