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――パンッ!
「頼む中条! このことは黙っててくれないか! この通りだ!」
顔の前で両手を合わせる。
作戦その三、懇願。
俺は、中条の言う通りmiccoは自分だと自白した。
「結果として騙すことになったのは、悪いと思ってるんだけど……。まさかこんなに人気が出るとは思ってなくて……今さら男ですとは言えなくて……」
これは、マジだった。
そもそも、姉ちゃんの服の宣伝アカとして作っただけで、ここまで大事になるとは思わなんだ。
それに、miccoは俺をイメージして作ったブランドだから。
姉ちゃんは、俺に服を着て宣伝して欲しいのだ。
「でも、これは、俺の趣味でもあるけど、その前に姉の仕事でもあるから……、どうか、miccoが男だってことは黙ってて欲しい……」
一通りの釈明をした俺は、中条の出方を伺う。
片手で額を押さえて、なにやら考えている様子の中条は、息を吐く。
「……それは、いいんだけど、」
「ほ、ホント⁉ ありがとうっ中条! 恩に着るよ! なにかお礼させて!俺にできることなら、なんでもするから」
「え、お礼? 俺、そんなつもりで言ったんじゃないけど……」
「いいのいいの!」
「……なんでも?」
きょとん、とするイケメンの顔に俺の心がくすぐられてしまったのと、なんとかmiccoの秘密を守れることにほっとして気が大きくなってしまった俺は、なんでもいいから言ってよ、と大口を叩いてしまった。
「……じゃぁ、俺の彼女になってくれない?」
「え……?」
彼女?
彼女って、あの彼女? 彼氏彼女の彼女の方?
彼氏彼女の彼女の方って、女の子だった、よな?
中条の言った意味を理解しようと、ない頭でぐるぐると考えるも、答えが導き出せない。
「ご、ごめん、もう一回言って?」
「俺の彼女になって、片瀬」
あれ、俺、なんか、いろいろ間違えた?
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