第3話

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 ――パンッ! 「頼む中条! このことは黙っててくれないか! この通りだ!」  顔の前で両手を合わせる。  作戦その三、懇願。  俺は、中条の言う通りmiccoは自分だと自白した。 「結果として騙すことになったのは、悪いと思ってるんだけど……。まさかこんなに人気が出るとは思ってなくて……今さら男ですとは言えなくて……」  これは、マジだった。  そもそも、姉ちゃんの服の宣伝アカとして作っただけで、ここまで大事になるとは思わなんだ。  それに、miccoは俺をイメージして作ったブランドだから。  姉ちゃんは、俺に服を着て宣伝して欲しいのだ。 「でも、これは、俺の趣味でもあるけど、その前に姉の仕事でもあるから……、どうか、miccoが男だってことは黙ってて欲しい……」  一通りの釈明をした俺は、中条の出方を伺う。  片手で額を押さえて、なにやら考えている様子の中条は、息を吐く。 「……それは、いいんだけど、」 「ほ、ホント⁉ ありがとうっ中条! 恩に着るよ! なにかお礼させて!俺にできることなら、なんでもするから」 「え、お礼? 俺、そんなつもりで言ったんじゃないけど……」 「いいのいいの!」 「……なんでも?」  きょとん、とするイケメンの顔に俺の心がくすぐられてしまったのと、なんとかmiccoの秘密を守れることにほっとして気が大きくなってしまった俺は、なんでもいいから言ってよ、と大口を叩いてしまった。 「……じゃぁ、俺の彼女になってくれない?」 「え……?」  彼女?  彼女って、あの彼女? 彼氏彼女の彼女の方?  彼氏彼女の彼女の方って、女の子だった、よな?  中条の言った意味を理解しようと、ない頭でぐるぐると考えるも、答えが導き出せない。 「ご、ごめん、もう一回言って?」 「俺の彼女になって、片瀬」  あれ、俺、なんか、いろいろ間違えた? 
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