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そ、そんな……無茶な……。
無理難題すぎる、と呆然としている間に、中条はまた目をつぶって待機している。
でも……、キス、したい。
恥ずかしさの中に、確かにそう望んでいる自分がいて……。
ご丁寧にかがんだ中条の肩に手を添えて、その無駄に綺麗な形をした薄い唇に吸い寄せられるようにして自分のそれを重ねた。
触れた途端、体の芯を突き抜ける甘い痺れに、足元がすくむようで、中条のシャツを思わず握りしめる。
それが柔らかくて甘いのは、もう知ってるのに、自分からするっていうだけでいつもと比べものにならないくらい心臓がどきどきしてうるさかった。
重なっていたのは、ほんの数秒、きっと1、2秒だ。
それでも、中条の匂いに包まれながら近くに感じられるだけで満たされていくのを感じていた。
なのに、当の中条は、
「めちゃくちゃ嬉しいけど、こんなんじゃ全然足りない――」
とまたふて腐った顔で、乱暴に唇を合わせてきた。
「えぇっ……んむっ……」
口をむりやりこじ開けられて、侵される口内。ねっとりと動く中条の舌に、俺の舌が絡め取られる。その動きに翻弄されて、与えられる刺激に口の中も頭も、体もパニック状態に陥った。
久しぶりのキスは、激しすぎて刺激が強すぎる。
「んっ、あ……ん」
合間合間に息をするたびに鼻から抜ける声は、自分じゃないみたいで恥ずかしくてたまらないし、抱きしめられていた手はいつの間にか俺のウェストラインを撫でていた。耳の後ろや首筋には中条の指が這っていて、あちこちから攻められてもうどこにも逃げ場がない。
絶え間なく刺激を受けて、体がおかしくなりそうだ。
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