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「はぁ……、俺いつまで我慢できるかな」
頭上からため息と共に吐かれた「我慢」というワードに俺は首をかしげる。
「我慢って、なにを?」
「……」
あきれた目を向けられてしまった。
きっと、こういうところを察することができないのが、今回いろいろと事態をややこしくしてしまった原因なのかもしれない。
「まぁ……こっちの問題だから、尊は気にしなくていいよ」
「え、気になるし……」
「いーんだ。尊はそのままでいーんだ。お前はこのまま変わらないでいてくれればいいよ」
「なんか、馬鹿にしてないか?」
「してないしてない」
「お、おい、変なとこ触るなよ!」
また裾をめくって侵入してきた中条の手が、俺の腰をさすり始めた。誰にも触られたことのない地肌を撫でるその手は温かくて滑らかで、全然嫌じゃないどころか気持ちいいとすら思ってしまう。
「いーじゃん、尊の肌すべすべで気持ちいーんだもん」
だもんって……、か、かわいいかよ!
く、くやしい!
可愛くて、なんも言えねぇっ!
けど、くすぐったくて、俺は身を捩る。
「ふはっ、やめろってば」
「やだ、やめない」
中条に、好きだと言われたわけじゃないし、付き合ってるのだってmiccoとして単なる見せかけなわけだけど……。
もし気持ちを伝えて、距離を置かれるようなことになってしまったらと思うと、とてもじゃないが自分の口から「好きだ」とは言えない。
だから、今はこのままでいい。
こうして、中条のそばにいられるなら、このままで十分だ。
ベッドの上、中条の腕の中で、俺は、ふんわりとした幸せに心満たされていた。
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