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「昨日はゴルの稽古にずっと付き合ってて疲れたし、朝は雨が降ってて暗かったからだよ」
ココルが不貞腐れた様子で言うと、ジーナはころころと笑いながら言った。
「人間って、本当に軟弱な生き物ね。だから滅んじゃったのよ」
「……」
急に黙り込み俯いてしまったココル見て、ジーナは「しまった」と思った。調子に乗って余計な事を言ってしまったからだ。
「ご、ごめん……」
「いいよ。本当の事だし」
そうは言ったものの、ココルの表情は冴えないままだった。
「あ、そうだ! 私の秘密の場所教えてあげる。木の実がたくさんなってる場所があるの。地上からだと見付けにくいから、私が案内してあげるわ」
なんとか機嫌を取ろうとそう言ってはみたものの、ココルは首を横に振り顔を背けた。
「ボク、お腹空いてないから……」
朝から何も食べていないはずだからそんな訳はないのに、ココルはそう言っては走り去ってしまった。
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