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僕の予感は、見事に的中した。
佳乃先輩の日記には、主に病気のことについて書かれていた。
皮膚病を患っているらしい。……だから、色素に異常があらわれ、あんなにも綺麗な容姿をしていたのだ。
佳乃先輩は珍しく、身体の色を決める色素のなかでも、比較的少ない赤系統の成分に異常があらわれるタイプだったらしい。
それは世界でも症例が少なく、難病指定されていた。
原因不明で余命も短く、治療法も確立していない。
ただ一つ、確実に分かっていることがある。
佳乃先輩の症状は気温によって左右されるのだ。
赤系統の成分は気温が高くなると濃くなり、低くなると薄くなる。
そう。まるで、桜の花びらのように――。
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