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今、女の子がいる橋からこの冷たい川へ僕を投げ落とした人間がやったワン。
僕が、川の中で泳げない様に。
溺れる様に。
死ぬように。
人間って、何て恐ろしいんだろう‥‥
醜いんだろう‥‥
苦しんだままの自分の最期の顔を見ながらそう思うワン。
「愛、可哀想だけど、もう死んでいるわ。
ホラ、行きましょう。
苺のケーキを買ってあげる。
それとも、チョコレート‥‥」
「いぁ、いぁないっ
ワンちゃん、たすけて‥‥」
「もう死んでるのよ!
しょうがないの!
死んだものは生き返らないんだから。
ホラ、行くわよ!
まぁまぁ、随分重くなったのねぇ‥‥」
女の子がママに抱きかかえられて橋の向こうへ去って行く。
「うわぁ~~~んっ!
ワンちゃん、ワンちゃんっ‥‥」
‥‥僕の為に泣いてくれてありがとうワン。
小さなやさしい女の子。
いわれのない暴力に傷ついた僕の魂が砕けてしまわなかったのは、きっと君のおかげだワン‥‥
‥‥泣き顔じゃなくて‥‥
君の笑顔が‥見てみたい‥ワン‥‥
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