最初の犬生

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最初の犬生

僕は、犬ワン。 何度も何度もワンコに転生している筋金入りのワンコわん。 最初の犬生は、野良犬だったワン。 『汚ねえ』だの、 『恐い』だの、 『あっち行け』だの言われて、 蹴られたりゴミとか投げられたりしたワン。 そして‥‥‥ 「えぇ~~ん、えぇ~~ん‥‥」 細くて高い声‥‥ 人間の、小さな女の子の泣き声‥‥ 「かぁいそぉ、たすけて、 ママ、しろいワンちゃん、 たすけて、しんじゃう、 ママ、えぇ~~ん‥‥」 しろいワン‥‥僕の事だワン。 ああ‥‥橋の欄干の隙間から女の子がコッチを見てるワン。 ‥‥泣いてるワン。 僕の為に? ‥‥ありがとうワン。 でも、僕はさっき死んでしまったワン。 今は魂になって溺れ死んだ体の傍に浮いてるワン。 改めて自分の溺死体を見てみると‥‥ 前足どうし、後ろ足どうしを縛られてるワン。
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