6話「やっぱり私は死ぬのが怖くて友達を見離す悪い子なんです」

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「オレが王としてまずやりたいことがある。それは、オレの母親を見捨てた王と同じ道は絶対に進まないこと」  レオンが私の手を握りなおしてから、会場の人達を見渡す。私はマルスが何を言い出すのかわからなくて平静を保っているのがやっとだ。  レオンは私と視線を合わせるとにっこりと微笑んだ。その笑顔はどことなくマルスを連想させて胸がザワザワと騒ぐ。 「ここにいるリーブラは、オレのことをずっと支えてくれていた。王妃への憎しみを抱えたオレが道を間違えないように隣にいてくれた。かけがけのない存在だ。オレはリーブラを守りたい」 「……レオンさん」  待って。その先を言わないで。  私は願いを込めてレオンを見つめるけれど、レオンは私の手を優しく握り返すだけだ。 「まず、トロー・コメート。あんたは、婚約者がいながら別の令嬢に好意を寄せていた。そのこと事態はこの国では普通。けれど、リーブラの悪質な噂を信じてリーブラを蔑ろにした」 「それは――」 「黙れ。トローを拘束しろ」 「レオンさんっ」  レオンの腕慌てて掴むけど、私が怖がっていると勘違いしたのか肩を引き寄せられた。
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