6話「やっぱり私は死ぬのが怖くて友達を見離す悪い子なんです」

11/27
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
 本来はこの時点でレオンは王妃を殺そうとする。が、私はイレギュラーな世界をいいことに最終イベントが始まる前に王妃を殺害するフラグをすべてへし折った。  レオンが王妃を憎んでいるのは痛いぐらいわかるけど、レオンに王妃と同じことをして欲しくない。レオンのお母さまは望んでいないと説得してようやく頷いてもらえたのだ。  レオンの瞳には王妃への憎悪が色濃く残っている。剣を握る手は震えているし、殺したくてたまらないのだろう。だから私はレオンのその手をそっと握る。 「レオンさん、わたくしの意見を聞いてくださってありがとうございます」 「別に……こいつと同じ場所に立ちたくなかっただけだ」  触れたことでレオンの震えが止まって安心する。剣先は首から外され、王妃を取り押さえていた仲間が王妃を拘束する。  これで、最終イベントは終わりだ。この後、話は城まで届き王は退陣を余儀なくされるだろう。マルスも例外じゃなく、一緒に国外通報。ゲーム通りの展開に納まってよかった。  だから、私は油断していた。イレギュラーな世界で正規のルートに進めば、大丈夫だって勘違いしていたんだ。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!